2017/03/05 09:49

『千代切紙』(ちよきりがみ)

バックストリートファクトリー

 

「これ、折り紙?」というのが最初に手にした時の印象だった。模様は日本の伝統的な柄で和柄の吉兆文様。落ち着いた柄越しに向こう側が見える。こんなことができるのか。。。というのがその時思ったことだった。非常に細い部分があり、手で持つだけで切れてしまうのではないかと思ったが、斤量70のコピー用紙くらいの中厚の紙でできているのに、柄のデザインもよく考えられていて、タテ、ヨコ、ナナメに引っ張っても紙が伸びることなく、しっかりとしている。

 

柄のパターンは、麻、青海波、七宝、鱗、籠目、網代、矢絣、千鳥、亀甲の9パターン。それぞれに3枚入りと1枚入りが用意されている。オススメは3枚入り。どれも1枚ずつレーザー加工で作られていて、1枚を仕上げるのに1分40秒ほどかかるとのこと。それでも高速な機械で加工しているとのことで、下町の工場が持つ技術力と、発想力、そして、その繊細さに「素晴らしい!」と感心させられる。

 

先日の展示会場で見た千羽鶴。この柄は青海波で、商品となっている青海波は藍色なのでサンプルとして展示されていたものとのことだが、これを見ても分かる通り、白い紙をレーザー加工しているにもかかわらず、加工された断面に焦げた跡がわからない。通常は少し色が濃くなっているものだが、相当高い技術で加工されているに違いない。

他の柄も拡大してみると、細くなっているところもしっかりと加工されていて、折り紙ずきにはたまらない商品だと思う。今までありそうで、なかったものを技術力でそれを成し遂げるという発想、行動力がベンチャー文具メーカーの良さである。

 

麻の柄を拡大して、実際どのくらいの細さなのかを見てみると、細い部分は0.5ミリほどである。0.5ミリというと、一般的なボールペンの太さである、0.7ミリよりも細い。折り紙と同じ大きさなので、15センチ四方の紙の中に素晴らしい技術が集約している。先日東京ビッグサイトで開催された「ギフトショー」で発表された平成28年度第11回TASKものづくり大賞でも優秀賞を受賞した商品。TASKとは東京下町の台東区、荒川区、足立区、墨田区、葛飾区の5区共同の産業活性化プロジェクトである。下町の技術力を競うプロジェクトで見事優秀賞を受賞したのも、納得ができる。

 

3月3日はひな祭りだったので、試しにお内裏さま、お雛様を折ってみたところ、簡単に作ることができた。「千代切紙」は折り紙を超えた、「おもてなし」を表現するアイテムではないだろうか。家庭であれば、玄関や床の間、会社であれば、受付や応接室、そう行ったところで、この商品を通じておもてなしの心を伝えることができるのではないだろうか。手にした時、勿体無くて折るのを躊躇してしまうかも、、、という気持ちは、実際にひとつ作ってみると不思議と消えてしまう。なので3枚入りがオススメ。

 

それぞれの文様の意味

麻(ASA) 魔よけの紋様 健康ですくすく育つように

青海波(SEIGAIHA) いつまでも穏やかな暮らしが続くように

七宝(SHIPPOU)ご縁・円満・調和 えんや繋がりは七宝と同じ価値がある

鱗(UROKO)厄除けの紋様 龍や蛇の鱗 厄を落とし再生の意

籠目(KAGOME)邪を払う紋様 玄関先の魔よけなどにも

網代(AJIRO) 1本で組んでいる一崩し文仕掛けに由来。代わり(かわり)の意

矢絣(YAGASURI) 婚礼の縁起柄 戻らないこと まっすぐ進むこと

千鳥(CHIDORI) 縁起物の紋様 夫婦円満 家内安全

亀甲(KIKKOU) 長寿吉兆 永遠の繁栄